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本原稿は今年1月にBCCKSにてリリースしました『YEAR IN MUSIC 2014』( http://bccks.jp/bcck/130107/info )に掲載した年間ベスト・ディスク・レヴューです。『YEAR IN MUSIC 2014』では、このディスク・レヴューの他にも50本以上に及ぶディスク・レヴューの他、シャムキャッツへのインタビューや書評、再発盤レヴューも掲載されております。PCまたはスマートフォンにて閲覧可能ですのでぜひご覧ください。
"ノイズ"とは、人間が定義した規則から外れたもの。不要なもの。過剰なもの。あるいは居心地の悪いもの。そう考えると、我々の日常はノイズの中に存在しているように思える。そのノイズは果たして醜いものだろうか。「美しさ」と「醜さ」、「調和」と「不協和」がそれぞれ表裏一体だとして、必ずしも「美しさ」と「調和」が同じ対象に宿ることはなく、ノイズの中にだって美しいものは存在するに違いない。そんなことを、本作の幕開けとなるノイズ・オーケストラ「救世なき巣」を聴きながら考える。THE NOVEMBERSが前作『zeitgeist』に引き続き自主レーベル"MERZ"からリリースした『Rhapsody in beauty』は、ノイズで美しさを表現した作品だ。
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NYに住み、スタインウェイのグランド(ショート)ピアノと、猫と共に暮らす矢野顕子。郊外には「パンプキン」というスタジオがある。矢野の才能の周りには、これまでも自然と他の才能が集まってきた。新譜『飛ばしていくよ』でも、矢野は自身が"カッコいい"と思ったアーティストと組み、はつらつと楽しんでいる。シンセサイザーやコンピューターナイズされた音が多いのも特徴の一つ。それもそのはず。今回はボカロPのsasakure.UKと組んでもいるのだ。「ごはんとおかず」「Captured Moment」ともに、ボーカロイドの作者が手掛けたとは思えない、メロディのたった楽曲だ。更にはyanokamiで、当時リリースされなかった音源をアレンジして発表した曲も(「YES-YES-YES」)。BOOM BOOM SATELLITESとの共作曲「Never Give Up on You」。ロック色が強いが、ハッとするプログレッシヴな展開が特徴だ。ボーカロイドであれ、ロックであれ、テクノ(砂原良徳との共作)であれ、最終的には矢野顕子色に染められていく。ピアノと対等に渡りあう歌心とともに、音源では音が"自然に"流れるように入ってくることも、矢野の“ものすごさ”を表している。ライヴではアレンジを変えて歌うことが多い矢野。“ぶっとんだ経験”をしに、ライヴに足を運びたい。(板垣 有)
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The fin.
Days With Uncertainty
HIP LAND MUSIC, 2014年
神戸出身、平均年齢22歳の若手ロック・バンドだ。今年3月にEP盤『GLOWING RED ON THE SHORE EP』を初の全国流通でリリースし、本作は1stアルバムとなる。彼らの愛するチルウェイヴ以降の音楽はもちろん、UK/USのインディ・ロックを彷彿とさせるスタイリッシュさを持ち、シューゲイザー、ドリーム・ポップといったカテゴライズが適した、幻想的なサウンドを得意としている。加えて、筆者が初めて見たライヴでは、青紫色のスモークが焚かれ彼らのシルエット姿だけが見える状況で演奏を披露し、音楽性を含めさながら来日アーティストのようであったことを覚えている。
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今年、東京のインディ・シーンを象徴したのは吉田ヨウヘイgroup(以下YYG)だった。森は生きているやROTH BART BARONら、このシーンを代表するバンドが出演したイベント「20140420」でトリを務め、フジロック・フェスティバルのルーキー・ア・ゴーゴー、One Music Campなどのフェスへ参加、ルミナス・オレンジの新譜への参加。そして何よりも、活発な活動の中リリースされた本作がそれを物語っている。
ファースト・アルバム『From Now On』以降1年3か月ぶりとなる本作は、OK?NO!!のriddamを含むメンバー・チェンジ後、初作品となる。ジャズから始まりファンクやニュー・ソウル的アプローチもあり、彼らの音楽は複合的で例えるのが難しい。具体的なコレというものは挙げにくいが、あえて言えば彼らの音作りはロネッツやカーデッツのようなコーラスにルーツがあると考える。YYGでは、メンバー8人のうち女性3人全員が楽器の他にコーラスを担当している。"ラララ" "ハハハハ"のような、スキャット的コーラスと楽器が絶妙な間を持って掛け合い、対話することで完成する流れは心地がよく、声も楽器の一部として組み込まれている様子をしっかりと感じられる。そういった手法を総括すると、音楽性は違えど方法論としてはルミナス・オレンジと近いものを感じた。先述の新譜ゲスト参加は必然的か。
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ああ、いつもそうだ。ゾクゾクするくらいクールでいて、またどうしようもなくなるほどに切なくさせる。焼け付くくらいに胸を焦がされる。こうしていつも私の心をかき乱していくんだ。Lillies and Remains (以下リリーズ)、彼らの音楽にはいつも良い意味で翻弄されてばかりだ。今回、約3年半ぶりのフル・アルバムとなったリリーズの新譜『ROMANTICISM』は、聴いたものの感情を狂おしくなるほどかき乱す。曲から、そして歌詞から溢れる切なさと、やるせなさ。今作の彼らはまた、今までの作品とは違う新たな新境地にたどり着いている。
10月12日に盟友PLASTICZOOMSと共催したオールナイト・イベント「BODY」で今作の楽曲を初めて聴いた時は、彼らの見せる新境地に強く胸が躍った。アルバム1曲目の電子音バキバキ、且つギターが唸りをあげるインダストリアルなナンバー「BODY」は、聴いたものの本能を解放させ、踊らずにはいられなくさせる。メロウなメロディーが醸し出す寂寥感が胸をしめつけるのが2曲目の「Go Back」。ラストにかけて、80年代感のある煌めくシンセサウンドにのるKENTの高音域の歌声、そしてコーラスワークが、さらに胸をしめつける。これがたまらない。さらに特筆したいのが4曲目、「Like the Way We Were」。これまでのリリーズでは聴いたこともない特徴的なギターのリフ、疾走感のある爽快なメロディーとサウンドが癖になる。
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イギリスのミッドランズ出身の4人組、テンプルズ。彼らを始めて目の当たりにしたのは昨年11月のHostess Club Weekenderでの初来日公演だった。2012年に結成したばかりのバンドとは思えない完成された音像、メンバーの優雅な佇まい、新人らしからぬ風格と雰囲気に惚れ込むのに時間など必要なかった。筆者にとって、"サイケデリック"といえば、強烈に歪んでいる音像、そして独特の浮遊感と、醸し出されるキラメキに酔ってしまう音であるが、まさにテンプルズの音に触れたあの瞬間は、初めて生で感じた"サイケデリック"という音の原体験であると言えた。
『Sun Structures』は、1曲目の「Shelter song」からイントロの12弦ギターのリフより聴くものを幻想的なテンプルズの世界へ引き込ませていく。タイトル曲である2曲目「Sun Structures」以降も、色気のあるムード感たっぷりな「The Golden Throne」、曲から漂う哀愁感がいたたまれない感情を呼び起させる「Move With The Season」、1曲目とはまた異なる、甘美でうっとりとさせる12弦ギターの響きが印象的な「Colours To Life」など、テンプルズの楽曲は、1曲1曲の中毒性がかなり高く、聴く者を幻想世界にトリップさせてくれる。と同時に、どこかスマートさに感じる楽曲たちに陶酔せずにはいられなくさせる。
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この作品は作曲、編曲をすべて箱庭の室内楽のハシダカズマ(Vo./Gt.)が担当していて、ヒップホップ、シューゲイザー、ポストロック、オルタナなど、あらゆるジャンルの音楽が詰め込まれており、ゆるめるモ!の魅力が最大限に引き出されている。一曲目「manual of 東京 girl 現代史」は、爽快に駆け抜けるような勢いのあるサウンドと、「みなさん、こんにちはー!」という元気なMCから始まり、リスナーのテンションを一気に上げてくれる。ラッパーのDOTAMAがリリックで参加した「木曜アティチュード」は、グロッケンなどのサウンドが組み込まれている軽やかなアンサンブルと、ゆるめるモ!のメンバーの個性が生み出した脱力系ラップが見事にマッチしている。「木曜アティチュード」以外の曲は、他作品の楽曲も含め小林愛が作詞している。これはどういう意味だ?と考えてしまう不思議な歌詞が、少女達の複雑でもやもやしているような気持ちを上手く表現している。
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一番彼のヒューマニティが表れている部分、それはやはり歌詞であろう。アジカンの曲にはないようなストレートな表現が印象的である。彼が「A Girl in Love / 恋する乙女」なんてどストレートにラブソングみたいなタイトルをつけていることにとても驚いた。この曲以外にも恋について歌っている曲もあるのだが、この作品は全体を通して、生きることや死ぬことについて歌っている。「Sequel to the Story / 話のつづき」の最後に<今日のことは忘れないだろう>という歌詞がある。この文面だけ見ると、「誰でも言いそうな言葉だよな~」と思ってしまうのだが、それを彼が歌うとなぜこんなにも心に沁みるのか。時間が経てば薄れてしまうこと、命には限りがあること。まるでそのことを彼に話しかけられているかのように、言葉が自然と染み込んでくるのだ。
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来年1月に再来日が決定しているスワンズの再結成後3作目となる本作でも根底にあるのは反復=ドローンにあると言っていい。しかし、それでいて、おおよそインプロヴァイズを軸としたであろうと推測できるアルバム構成は各音のパートの分離と隙間が非常に生かされた、有機的で立体的なアンサンブルが特徴だ。言い変えるならば、スワンズ史上最もライヴ感溢れる作品である。強靭な反復のリズムを基調にしつつも、ギター・ノイズは自在に、時に多彩に暴れまわる。ジラのヴォイスはジム・モリソンを彷彿させるように情念を湛え、歌い、叫び散らす。初期のスワンズの反復は脊髄反射的なものであったが、本作におけるスワンズの反復は極めてフィジカリティなものである。リズムの躍動感は呪詛的でプリミティヴですらあるのだ。また長尺が占める楽曲群の構成と展開はスワンズ流の演劇=音劇を鑑賞しているようである。「Bring the sun/Toussaint L’Ouverture」はその象徴であろう。本作の要素を全て凝縮し、展開され、繰り返される。スワンズ流の演劇=音劇は永遠に終わりのない反復なのだ。
ここで冒頭の問いは繰り返される。スワンズ=ジラの反復とは何を指しているのか。結論から言えば、スワンズの反復は初期の頃から何も変わっていない。即ちスワンズの反復とは愛憎の反復なのだ。徹底した愛憎がジラを反復に掻き立てるのである。愛と憎しみは相反しない。ジラにとって愛することと憎むことは同義であり、愛するが故に憎み、憎むが故に愛する。その愛と憎しみの反復によって、生まれる軋轢がスワンズの反復の根源なのだ。本作でもメビウスの輪のように終わりなき愛憎はグルーヴとなって貫かれていると言っていい。
仮にマルグリット・デュラスのテキストにサウンドトラックをつけるのならば、本作ではないか。『To be kind』は永遠に繰り返される愛と憎しみの間で反復し、そして逆転し続ける愛憎のリヴァース・ショットなのだ。(佐久間 義貴)
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板垣:そうです。前ノリというか。R&Bとかは溜めていくじゃないですか。そうではなくて前のめりに音を鳴らしている感じが、ハードロックとかメタルっぽいなと。山下洋輔さんや、同時期のフリージャズ、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ(Art Ensemble Of Chicago)とかを聴くと、楽器が叫んでいるように聴こえる。
板垣:いま、またニュージャズみたいな面白いジャズが沢山出てきていて、そういうのがメタルとクロスすることがないのかなあと。ジャズが変わったら、ロックひいてはメタルも変わるように思っていて。ジャズは色んな模索を経て現在のニュージャズに至る訳ですけど、さっきのようなフリージャズが壊して生んだものも含めて、ジャンルを超えた地殻変動が起きないかなと期待しています。かつてミクスチャーが生まれてアーティストたちが様々な方向を向いていた時代みたいな動き。ロバート・グラスパー(Robart Glasper)がニルヴァーナ(Nirvana)の「Smells Like Teen Spirits」をカヴァーしましたけど、グランジを黒人音楽のノリに変えてしまっていた。エレクトロの分野からもフライング・ロータス(Flying Lotus)とかみたいにジャズの影響を受けて新しい音を作る動きがある。
板垣:ロックって元々ブルースからきているじゃないですか。クラシックは自分たちの白人の音楽だからロックに取り入れられるんじゃないかということで、最初に取り入れたのが多分ビートルズだと思うんですけど、それをハード・ロックに取り入れていったのが、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(Emerson, Lake & Palmer)のキース・エマーソンとかディープ・パープル(Deep Purple)のジョン・ロードだと思うんですね。取り入れる時に、今までのクラシックのモードみたいなものを新しいコードに変更したとリッチー・ブラックモアも言っていて、その辺が今のバンドにどう生きているかというのがわかったら面白いと思ったんですけど、私はその辺はあまりわからない。
<BEYOND BABYMETAL: THE NEW WAVE OF J-METAL>
・FEAR, AND LOATHING IN LAS VEGAS
・MAN WITH A MISSION
・GALNEYRUS
・TOTALFAT
・SiM
・ONE OK ROCK
・MY FIRST STORY
・DAZZLE VISION
(参照元:Metal Hammer)
<Six Totally Insane Japanese Metal Bands>
・BABYMETAL
・マキシマム・ザ・ホルモン
・MAN WITH A MISSION
・SIGH
・SAND
・SWARRRM
(参照元:Revolver Mag)
——NEW WAVE OF J-METAL、と。
堀中:レコメンドされているのがONE OK ROCKとかMAN WITH A MISSIONで、日本ではロキノン系と言われているようなバンドも、UKのメディアからはメタルとして扱われていると。一方でアンダーグラウンドなものも取り上げられているんです。
佐久間:Boris、SWARRRM、SIGHとかも。
堀中:紹介されてる文脈で考えると、BABYMETALのことをメタルかメタルじゃないかって気にしているのは日本だけなんじゃないのかと思いますね。今の20代くらいまではBABYMETALもONE OK ROCKも同じように聴いていて、それは海外でも変わらないんじゃないかなと。
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佐久間:ロシアン・サークルズ(Russian Circles)というインストのヘヴィロック・バンドのベーシスト、ブライアン・クックとバプティスツ(Baptists)のドラマー、ニック・ヤシシン、そして元アイシス(Isis)のフロントマン、アーロン・ターナーが組んだバンドです。アーロンは2014年にオールド・マン・グルーム(Old Man Gloom)で2枚アルバムを出しているんですが、先ほどのRolling Stone誌のベスト・アルバムにも選ばれていました。ただ、このアルバムはそれをはるかに上まわる完成度を提示しています。
——ドゥーム的な、ダークだったり、神秘的な空気感は聴いていて感じる一方、あまりこれ見よがしじゃなくどういう風にも聴けるようなバランスが素晴らしいアルバムですよね。あと、彼女はエメラルズ(Emeralds)とかワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(Oneohtrix Point Never)とかと交流があるというのも納得させられました。
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Shiggy Jr.
LISTEN TO THE MUSIC
mona records, 2014年
フロントマンの池田智子(Vo)と曲作りの核を担う原田茂幸(Gt)は僕と同じ25歳だ。
僕らと同世代である人がこの「LISTEN TO THE MUSIC」を聴いたなら、初めて出会った音であるにも関わらず「どこか聴きなじみがあるな」と感じるかもしれない。それは90年代を通過してきた僕らが暮らしのなかで意図せずに聴き、浴びるようにして育った音楽 -つまり「J-POP」を血肉に変えて、現代のシティ・ポップへと再構築したものこそがこの作品だからだ。
『LISTEN TO THE MUSIC』はこうした楽天的な部分に突き抜け、音楽が持つ快楽の要素が弾けんばかりに溢れている。はつらつとした歌詞や打ち込みとテクノ感のある音の粒から構成され、まるでJ-POPの無垢な部分を抽出したようなポップをふりまくタイトル曲「LISTEN TO THE MUSIC」や、ホーンのリズミカルな掛け合いが楽しい「day trip」、〈アイスクリームみたいに溶けそう〉と恋する乙女の心情をストレートに歌う「Baby I Love you」など、全編を通してキュートで迷いのない歌声。楽しく歌おう。楽しく聴こう。それだけに振り切っている、その潔さが気持ち良い。誰もが口ずさむことができるキャッチーな楽曲たちは360度全方向に瞬間を楽しむ幸せを放出している。また彼らの青春時代を彩ったチャットモンチーなどのバンドから影響を受けていることや、現代のクラブ・ミュージックの要素が盛り込まれたことも大きい。それが今作を「この時代のシティ・ポップ」へ昇華させ、90年代への回帰に留めるのでなく四半世紀の成長過程を経て作られたものに仕上げている。
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そんなシーンを知ってか知らずか、20年超のキャリアを持つスプーンの新作『They Want My Soul』は骨太な60年代的メロディを基幹にロックの伝統的な初期衝動を感じさせる。それでいて、10年代の潮流となりつつある緻密な曲構成や質の高い録音を用いて革新性を提示することも忘れていない。タイトル曲「They Want My Soul」の〈ああ、やつらは俺の魂が欲しいのさ!〉というソウルフルな叫び。自らを取り巻く泥濘としたものを蹴散らす力強さには思わず拳を握った。
冒頭の破裂音を思わせるスネアから始まり、ドライな硬さと美しいリフを携えたミドル・ナンバー「Rent I Pay」。かき鳴らされるギターは頼もしくも、恍惚感を湛えたコーラスは輝きを放つ「Do you」では繰り返されるサビを思わず一緒に口ずさみたくなる。気の抜けたカントリー調のイントロが特徴的な「Let Me Be Mine」は、近年復権を見せつつあるスラッカーな空気との共振を漂わせるようだ。ラストに流れ込む「New York kiss」はNYの街角での古い恋人と交わした接吻がありありと浮き上がり、センチメンタルな思いに締め付けられる。
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堀中:メタルコアのルーツとしてはいくつかあるのですが、90年代前半にスウェーデンのバンド、代表的なところではアット・ザ・ゲイツなどが旧来のデスメタルにメロディーの要素を持ち込んだ動きと、あとこのカーカスの4thアルバム『ハートワーク(Heartwork)』の影響を受けて、イン・フレイムスとかソイルワーク(Soilwork)、チルドレン・オブ・ボドム(Children of Bodom)といったメロディック・デス・メタルのバンドが北欧で登場します。その後、そういったバンドが2000年前後にアメリカに進出してスリップノット(Slipknot)とかとツアーするようになったりして、そのメロディック・デス・メタルに影響を受けたアメリカのバンドが、ヨーロッパのメロディアスなメタルとアメリカのニューヨーク・ハードコアのエクストリームさを掛け合わせた音楽をやるようになって形成されたのがメタルコアです。特にマサチューセッツのボストンを中心にして、キルスウィッチ・エンゲイジ(Killswitch Engage)やシャドウズ・フォール(Shadows Fall)、アズ・アイ・レイ・ダイイング(As I Lay Dying)というバンドが出てきました。
『RAY』に関しても『FLAME BAIN』や『THE LIVING DEAD』のころを知っている人からすれば、いわゆるギター・ロック・バンドらしかぬシンセや同期を盛り込んだサウンドに「変わったなバンプ」と思うかもしれない。けれど年齢を重ね円熟味を増した4人の思いは音楽があるべき形で響くためにもはや手段を選ばなくなってる。その結果、光量の多い眩しいアルバムが届けられた。プログラミング音と共に優しいアコギが僕らを温かく包容し、祝祭感が空まで高らかに鳴り響く「虹を待つ人」。色彩豊かな光が周囲を駆け廻り〈生きるのは最高だ〉と藤くんに言わしめたタイトル曲の「ray」を始めとしたエネルギーと多幸感に満ちた楽曲は僕達の日々を明るく照らし出してくれる。一方で震災を契機に作られた「smile」は静謐な歌い出しから生命力溢れるプログレッシヴ・サウンドが一気に展開し、力強い光で僕らを呑み込む。「(please)forgive」が放つのは切なく淡い光だ。起伏の穏やかなこの歌は安寧とした日常の不自由さ、しかしそれすらも自らが自由に選んだものだ、ということを粛々と紡ぎだしている。
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音しかなくてもメンバーたちが楽しく演奏する姿が目に浮かぶ今作。J・ガイルズ・バンドの演奏が気付いたらハードコア・パンクになっていて、ハイ・スピードなソウル・レビューになってしまっていたみたいな構成である。スガナミ、きむらかずみ(Ba)、しいねはるか(Key)が創った楽曲はインストゥルメンタル6曲と歌が4曲。速くタイトでスウィング&ロールしまくるリズムに、暖かくテクニカルなキーボードとギターは様々なジャンルを呑み込む。「More Japanisch」ではオリエンタル。「theme#4」では民謡からのヒゲダンスといった具合だ。しかし「MONKEY SHOW」では黄色人種・日本人として踊る意志、「GOD SAVE THE DANCING QUEEN」では風営法とシリアスなテーマな歌詞の曲も。それすらも高速で明るく洗練された形で見せてしまうのが凄い。それは洋楽に近づくのではなく、日本人としてのアイデンティティを持ったうえでのミクスチャー感覚の音楽とパーティーを敷居低く伝えたいからといえる。
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2014年に1stアルバムが発表されたBABYMETALは世界的な人気を獲得するに至り、昨年に引き続き今年もワールドツアーの開催も決定しているなど、日本国内のマスメディアにおいても「メタル」の言葉が登場するようになりました。
そうした一方で、メタルというジャンルには依然、独特かつ敷居が高そうで、なかなか手が出せないイメージもあるように思います。
そこで、今年1月に発刊された『YEAR IN MUSIC 2014』の執筆陣で常日頃メタルを聞いている3名のライター陣、堀中さん、板垣さん、佐久間さん、に、メタル素人の小林が進行役となり話を伺いました。メタルが持つ様々な要素を解きほぐしていくと、そこに雑多で多くのジャンルと隣接する姿が見えてきました。新たな観点が加わり、立体的にメタルを聴くきっかけになることができれば非常にうれしく思います。
堀中:「メタル」や「ヘヴィメタル」という言葉の語源については諸説あるんですけど、よく言われているのが、70年代の中盤くらいにアメリカのブルー・オイスター・カルト(Blue Öyster Cult)の音楽を表現するのに”heavy metal”という言葉が使われたのが最初という説ですね。あと、”heavy metal”という言葉自体が最初に登場したのは、ステッペンウルフ(Steppenwolf)の有名な「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド(Born To Be Wild)」の歌詞のようですけど、これはメタルの音楽性を表現したものではないですね。UKの雑誌(Sounds誌)の記者によって、アイアン・メイデン(Iron Maiden)やサクソン(Saxon)といったバンドが70年代後半に出てきたムーヴメントをNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリテッシュ・ヘヴィ・メタル)と名付けたことが直接的なルーツですね。
<Rolling Stone 20 Best Metal Album of 2014>
1. Yob『Clearing the Path to Ascend』
2. Triptykon 『Melana Chasmata』
3. At the Gates 『At War with Reality』
4. Old Man Gloom 『The Ape of God』
5. Scott Walker + SunnO))) 『Soused』
(以下はリンクを参照ください)
佐久間:オルタナ色が強いし、かなりリベラルなセレクトですよね。
堀中:実はこのランキングの中で、日本のヘヴィメタル専門雑誌であるBURRN!などで取り上げられているのはアット・ザ・ゲイツ(At The Gates)、とか20枚のうち5枚くらいで。日本国内よりも海外の方がメタルというジャンルについては圧倒的に範囲が広くて雑多なんです。日本ではメタルとはあんまり言われてないけど、海外だとメタルチャートにはこういうものも入ってるよ、という。
堀中:このマストドン(Mastodon)の『ワンス・モア・ラウンド・ザ・サン(Once More 'Round The Sun)』というアルバムは、悪い意味ではなく歌もので、アメリカでもチャート・アクションが良くて普通にラジオとかでも掛かっていました。一方で、ギターとかベースの重さだったり、リフの感じにはメタルらしいものがあって、今のシーンで見た時には最もメタルらしいバンドかなと思っています。
——このバンドは2000年アメリカのアトランタ結成ですね。
佐久間:ギターのビル・ケリハーとドラムのブラン・デイラーがトゥデイ・イズ・ザ・デイ(Today is the Day)というヘヴィロック・バンドの出身なんです。残りのメンバーもノイズとか地下音楽系のことをやっていたりして。