20121106

[asatte Vol.5](特集:ファッションと音楽) 梶原綾乃「世界を魅了する“ぱみゅぱみゅ”マジック」

きゃりーぱみゅぱみゅの人気の裏には「自己プロデュース力」という強みがある。自分の好きな目玉や骨といった"グロカワ"アイテムに、芸人ばりの変顔やダンスはPVへ、ブログで多用されるきゃりー語"好きすぎてキレそう"は楽曲タイトルに。元々彼女が持つ独特な世界観を、所々惜しみなく売り出すことに成功しているといえるだろう。リスペクトする人物はケイティ・ペリーやレディー・ガガ。普通の女の子として生きることに飽き足らないきゃりーは、奇抜なファッションで世間を驚かせてきた憧れの彼女達のように、「ちょっとズレてる」女の子として、世界にきゃりー流"カワイイ"の発信を試みようとしているわけだ。 



そして彼女を支えるプロデューサー達は、きゃりーの世界を一旦享受し咀嚼することで、彼女をより色濃くブランディングしている。PV「PONPONPON」の田向潤監督は、ぽっちゃりなのにすごく踊れる女性ダンサーを起用したり、キャンディ型の立たないスタンドマイクなどを自ら考案した。世間の常識とズレているイメージを増幅させ、彼女というブランドをうまくおバカに仕立てあげているように思える。

田中ヤスタカは「きゃりーでなければ、こんな曲は書かない」と公言している通り、capsuleやPerfumeでは見せないコミカルさを披露。ティーンエイジャーの情緒豊かな日常をモチーフにした歌詞でありながら、彼お得意のヴォイス・エフェクトで彼女の正体をオブラートに包み、ミステリアスな存在のままとさせている。

そんなプロデューサーたちの愛を受けてステージに上がった彼女は、すました表情がうまく型にハマらないほど、喜びの気持ちで溢れだしていた。読者モデルのきっかけとなった大きなリボンを頭につけ、パステル調の色彩をふんだんに取り入れたバルーン型スカートや、先述の“グロカワ”アイテムやつけまつげ、キャンディの袋までも身にまとう。きゃりーという女の子の理想を体現出来ている今の状況を彼女は、「やりたいことが実現していてとても楽しい」と語っている。

彼女をアイドルと例える者もいるかもしれないが、私はそうは思わなかった。元々が読者モデルということはもちろんだが、きゃりーぱみゅぱみゅとは、プロデューサーありきで設定を作り上げられた人物ではなく、既に彼女のなかに存在していた個性から発展した人物なのだ。従来のアイドルと違うプロデューサーの立場がその証拠なのである。息の合うプロデューサーの下、彼女という素材をより拡張することで、世界に"カワイイ"の可能性を広げていってほしい。


きゃりーぱみゅぱみゅ - ファッションモンスター,Kyary Pamyu Pamyu Fashion Monster

「ファッションモンスター」 2012年10月17日発売!!

待望の新曲はモードでロックなきゃりーぱみゅぱみゅの新境地に突入!
毎回恒例のextened mixにはあの人気楽曲 「つけまつける」 が収録!!!