20121011

[asatte Vol.6] 岡本貴之「少年少女合唱団とロック・ミュージシャン」

ザ・ローリング・ストーンズのキース・リチャーズ、エレファントカシマシの宮本浩次、ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロト。この3人に共通点があることをご存じだろうか? 答えは「少年少女合唱団(もしくは聖歌隊)」を経験していることだ。

キース・リチャーズは少年時代、聖歌隊に所属していたという。ウェストミンスター寺院内の教会に於いて、若き新女王エリザベス二世の戴冠式で独唱を披露。ヘンデルの《メサイア》の中から《ハレルヤ》を歌ったキースは聖歌隊のスター的存在だったという。しかし13歳で変声期を迎え、高く透明な声が出せなくなったキースは聖歌隊から追い出されてしまう。さらに合唱の練習の為免除されてきた授業のせいで1年留年。このことについてキースは「あの燃えたぎるような怒り、世の中を疑い始めたのはあのときだ」と相当恨んでいたらしく、この出来事が後のロックンロール・ジャンキー、キース・リチャーズを作り上げたのかもしれない。

宮本浩次は、小学生の頃、NHK少年少女合唱団に所属していた。10歳の時、「はじめての僕デス」でソロ・デビュー。『みんなのうた』で取り上げられ3万枚以上売れるヒットを出している。複数のレコード会社からそれぞれリリースした為、合唱団の先生に連れられて各レコード会社に出向いてレコーディングしたという。
「NHK合唱団では“ガ”っていわないで、(鼻濁音で)“が”っていえ、って言われて」
「そういうのは、今でも出ちゃったりとかしてますよね、微妙に」(いずれもROCKIN’ON JAPAN 2009年5月号掲載のインタビューより引用)
といった発言にもあるように、「正当な音楽教育」を受けた経験が今に活きているようだ。

甲本ヒロトの場合、幼少期に出身地の岡山で「桃太郎少年合唱団」に所属していて讃美歌を歌っていたらしいが、インタビュー等で本人がこれに関して語っているのを読んだことがないので詳しいことはわからない。しかし「桃太郎少年合唱団」が設立された年はヒロトが生まれた年と同じ。幼少期のヒロトが入っていてもおかしくはない。

ストレートなロックが真骨頂なこの3人の音楽性に合唱団との親和性を見出すのにはかなり無理があるが、大勢の中から独唱やレコード・デビューを果たしている事実を鑑みると、幼少期から人並み外れた音楽的センスを発揮していたからこそ抜擢されたのだろう。同時にとても大勢の中でお行儀よくしていられる子どもだったとは考えにくい3人だけにきっと目立つ立ち振る舞いをしていたのだろう。「ロックの初期衝動」とはロック・ミュージックに初めて触れた時の衝動を元にパッションを持ち続けることだが、それ以前に幼少期に人前で歌を歌うことの快感が、音楽で自分を表現することへの初期衝動として彼らの体の中に記憶されているのかもしれない。その証拠に、彼らがステージ上で見せる笑顔は、今もあどけない少年そのものだ。


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