20130621

ELLEGARDEN@幕張メッセ(2007.3.24)


あんなにも大きな会場にも関わらず、バンドから発せられる溢れる熱量をその場にいた約3万人が同じように感じることができた奇跡のライヴだった。2007年当時すでに彼らのライヴハウスツアーは即完だった。だがELLEGARDENは決してホールツアーは行わなかった。そんな中、ツアーのアフターパーティと銘打った幕張メッセ公演。彼らがこの公演を実施する意味はライヴを前にした私にはまだ分からなかった。




ライヴは当時最新アルバムだった『FIRE CRACKERS』の冒頭曲「opening」で幕をあけた。照明が落ちた瞬間地鳴りのような歓声に包まれた。その瞬間、改めてこの大空間すべてがこのバンドを待ち望んでいたことをオーディエンスから放たれる異様な熱気から感じることができた。「Fire Cracker」や「Acropolis」といったミドルテンポの曲から、「The Autumn Song」「Pizza Man」などライヴ大定番のアッパーチューンも織り交ぜ、会場の温度は沸き上った。序盤のMCで「お前らすぅげぇよ!ありがとな!」と噛みしめる様にVo,Gt細美は言った。「正直、後ろの人達どうなんだろう?って思ってたけど、すげぇ愛情感じる!」と一言。その言葉に後方ブロックは沸き上った。私のいた最後方ブロックでは当人達は自分の人差し指の大きさ位にしか見えなかったが、そんなことお構いなしで楽しむ姿には最前ブロックと同じ熱量が感じられた。その状況を感じ取るかのような細美のMCで、何百メートルをかっ飛ばしてステージの彼らと私たちは同じ「今」を共有しているのだと感じた。まるで見えないはずのメンバーに拳を挙げ狂喜乱舞するオーディエンスの姿はまさにライヴハウスの情景だった。私は、観客動員数も全く違うはずなのに、幕張メッセとライヴハウスがシンクロする様をそこにみた。
中盤戦に差し掛かるも、「(Can’t Remember)How We Used To Be」「Supernova」「風の日」と休む暇を与えない攻めのセットリスト。「いつも通りに頼むわ」という細美の呼びかけに応えるように、モッシュあり、サークルあり、ハイタッチあり、辺りに広がるのはいつもライヴハウスで見る風景そのものだった。

本編の最後に細美はこう言った「さぁ、ライヴハウスへ帰ろう」と。大規模なライヴは体感距離をも超えて成功した。だが、それはあの会場全体が普段のライヴハウスを忘れずにいた結果であり、積み重ねた日常が創り上げた一日だったのだ。彼らは自分達を待ち望む多くの声に応えられると証明した。同時に、いつかのパーティの為にまたライヴハウスでの日常を積み重ねていくと私たちに約束した。人気に見合うキャパのライヴをやるべきという声を一蹴し、自分達のやり方でやっていくという決意表明にも似たものだったからこそ、私の記憶に深く刻まれたのだろう。ELLEGARDENはいつまでもいつまでも、圧倒的な“ライヴバンド”なのだ。
(佐藤ワカナ)
2013年4月期(テーマ:1番印象に残ったライブ)