20130621

THE ROLLING STONES@東京ドーム(2006.3.22)


 自分が初めて行ったライブ。ロックやブルースどころか、ライブもよく分かっていないのにやってきた。東京ドームに着いたら老若男女問わず人が沢山いて、大きなスクリーンと建物が設置されたステージが目の前にある。前座の演奏、グッズの購入、色々な事を経て今か今かと親と待っていたのを覚えている。



 最強のリフがキース・リチャーズのギターから響いた。「Jumpin’ Jack Flash」だ!ミック・ジャガーが赤いジャケットを着て力強く唄う。客は熱狂する。そこから新旧の曲をノリノリで披露。途中でミックの日本語による「日本優勝おめでとう。106」とWBCに関するMCも挟まれていた。誰が何と言おうとミック、キースとドラムのチャーリー・ワッツとギターのロン・ウッドによる本メンバーとサポート陣の生み出す圧倒的なグルーヴに、体揺らし腕を突き上げていた。
 そしてミックがまた日本語で「この曲覚えてる?」と言って、バラード「As Tears Go By」を披露する。思えばこの時からまた本楽曲を演奏するようになり、のちにライブ・ドキュメンタリー映画『シャイン・ア・ライト』で収録されたライブでも演奏したのであった。途中、レイ・チャールズの「(Night Time Is)The Right Time」のカバーが披露され、レイの姿がスクリーンに。自分の中では数年前に死去して映画になった人というだけの認識だったので、ここで唄われるとは彼は偉大であったのだなと感じた。キースが唄う曲もありながら、最終的に別ステージとメイン・ステージで代表曲が続々と披露された。ここまで来ても全然だれていない。さらにテンションが上がっている。多くの困難と戦ってきたR&Rバンドとしての強さがステージに表れていた。

 あの日、最後の来日やツアーになるかもしれないからと親は連れてってくれた。最も今となっては良い意味で期待を裏切られたわけだが。親が十代であったころから存在し、過去に来日しない可能性すらあったバンドが東京ドームで何度もライブをするほど存続している奇跡。思えば、その年に日本ではクロマニヨンズと毛皮のマリーズのCDデビューがあった。そして今、初期の彼らによく似たアイルランドの十代バンドであるThe Strypesが注目されている。何よりあの時ロックの凄さを身をもって知り、今もこのように原稿を書いているように、自分の中で音楽は欠かせないものとなった。世代を繋ぎ、これからも人類は歩んでいく。あの日のライブはそのような力が確かにみなぎっていた。その日のアンコールで披露された「You Can't Always Get What You Want」の歌詞にある通り、“But if you try sometimes well you might find You get what you need”なのだ。

(小泉創哉)
2013年4月期(テーマ:1番印象に残ったライブ)