20150307

【REVIEW】南田勝也『ロックミュージックの社会学』

 今年1月にBCCKSよりリリースされた『YEAR IN MUSIC 2014』の書評特集において取り上げた南田勝也さんの『オルタナティブロックの社会学』の前段となる、『ロックミュージックの社会学』についても書評を掲載します。 引き続き『YIM2014』を楽しんで頂ければと思います。

南田勝也
ロックミュージックの社会学
青弓社ライブラリー, 2001年
 音楽性に「ロックか否か」どころか人間性でも「あの人はロックだ」とかいうものにこだわることがあるのは何故だろう。そして内田裕也のような種類の人間は何故存在するのだろうか。ロックが単なる音楽ジャンルを越えて、精神性や価値観を問われるものになったのはどうしてか。著者はこの本で音楽分析や歴史への感動、興奮を伝えようとはしない。あくまで社会学の視点で「ロックとして卓越した存在になること」を証明する原理を一冊の本で説明している。
 価値観の体系としての三指標―〈アウトサイド〉〈アート〉〈エンターテイメント〉がロックであることを成立させる考え方はとても分かりやすい。と共に人間が何度も時代や表現の壁にぶち当たる困難さも改めて感じさせる。さらに第4章以降は日本のロックについてページを割いているが、改めてアジアの国でロックをやる困難さを嫌と言うほど感じてしまう。弾けないギターを弾くんだぜという簡単な話ではない。
 それでもロックは何かしらの概念として生き残り広がるものであることが理解できた。14年には続編ともいえる『オルタナティブロックの社会学』が出た。研究対象としてロックという音楽はいまだに面白い証拠である。(text by 小泉創哉)

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小泉創哉

20150222

YIM2014著者による年間ベストディスク(堀中敦志編)

今年1月にBCCKSよりリリースされた『YEAR IN MUSIC 2014』についてはBCCKS人気ランキング1位を達成するなど、多くの方にご覧いただき本当にありがとうございます。
この『YIM2014』に連動したブログ企画として、各著者による年間ベストディスクのショートレビューをお送りします。ぜひそれぞれの著者にも注目し、引き続き『YIM2014』楽しんで頂ければと思います。
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著者:堀中 敦志

掲載原稿

Year in Music 2014
  • THE NOVEMBERS『Rhapsody in beauty』
  • 
FKA twigs『LP1』
  • Co/SS/gZ(コーパスグラインダーズ)『Kr/A/sH!≪音圧鬼盤≫』

年間ベストディスク2014

PLASTIC GIRL IN CLOSET『eye cue rew see』


 2014年を振り返ってみて残念に思うのは、やはりこの作品が十分に評価されていないということだ。男女ツインボーカルと耳の奥にじわっと溶けていくシューゲイズ・サウンドはこのバンドの10年余りの活動を凝縮したもので、海外のドリームポップ勢と比較してもここまでメロディーの充実を見せる作品は他に思いあたらないかと。岩手県人の朴訥とした人柄もまた魅力的な3人組。

大森靖子『洗脳』


 音楽的な観点でJ-POPという音楽にセオリーはなく、ただ多くの人に聴かれることだけがその曲をJ-POPにする魔法なのだとして、その魔法への強烈な羨望の名の下に、「大森靖子」というエゴが擦り切れるギリギリのところまで研ぎ澄ましてしまった「J-POPになりたい曲」が詰まったアルバム。アンダーグラウンドから万人受けを目指す様は、いびつに美しいと思う。

ANTEMASQUE『ANTEMASQUE』



 アット・ザ・ドライヴインの01年の解散からザ・マーズ・ヴォルタでの活動、そして11年の再結成を経てまだ同じバンドをやっているセドリック・ビクスラーとオマー・ロドリゲス。しかし、この作品で見せる相性の良さと妖しい輝きは、本作がこの腐れ縁コンビの最高傑作であると確信できる快心作。ねっとりした質感の魅力は、この2人の間にしか起きない化学変化からくるものだ。

THE NOVEMBERS『Rhapsody in beauty』


 海外で知られている日本の人気バンドとは何か。toe?envy?MONO?BORIS?あぁ、勿論そうだ。でも、近いうちにこのバンド、”THE NOVEMBERS”の名前をみんな挙げるようになるのではないか。言葉も国境も簡単に飛び越えられるだけの美しさが、このアルバムには丁寧に込められている。

White Lung『Deep Fantasy』


 USインディーとメタルを飲み込んでサイボーグ化したモーターヘッド。生き急ぐハードコア。攻守の割合を100:0で攻め抜いた10曲22分。えげつないです。

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堀中 敦志 @deathtofalse

20150219

YIM2014著者による年間ベストディスク(夏梅実編)

今年1月にBCCKSよりリリースされた『YEAR IN MUSIC 2014』についてはBCCKS人気ランキング1位を達成するなど、多くの方にご覧いただき本当にありがとうございます。
この『YIM2014』に連動したブログ企画として、各著者による年間ベストディスクのショートレビューをお送りします。ぜひそれぞれの著者にも注目し、引き続き『YIM2014』楽しんで頂ければと思います。
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著者:夏梅実

掲載原稿

Year in Music 2014
  • ザバダック『プログレナイト2014』
  • 初音階段『恋よ、さようなら』
音楽書評
  • 大坪ケムタ・田家大知『ゼロから始められるアイドル運営』
再発レビュー
  • コンピレーション『Light Mellw Avenue ~ビクター編』
  • タキオン『タキオン』
  • マリア観音『犬死に トゥー・マッチ・エディション』
  • ナチコ『薬屋の娘』

年間ベストディスク2014

ザバダック『プログレナイト2014』


 2012年から続く3度目となる「プログレナイト」を収録したライブ盤。2014年の日本のプログレの最重要作品であるとともに、最近のライブでは定番となった今のザバダックの重要曲である福島民謡のロックアレンジ版「相馬二遍返し」を初めて収録した作品として記憶されることになるだろう。これ以降も2014年秋のプログレツアー、2015年春のプログレ祭りが続いており(?)、2015年の「プログレナイト」にも今から期待が高まる。

初音階段『恋よ、さようなら』


 非常階段がボーカロイド・初音ミクをパートナーに選んだプロジェクト、初音階段(初音ミク+非常階段)。前年リリースの邦楽カバー編に続く洋楽カバー編だ。ケイト・ブッシュ「嵐が丘」、キングクリムゾン「風に語りて」など絶妙なセレクトの9曲に初音ミクのボーカルとJOJO広重のノイズギターが新たな息吹をもたらしている。

エレクトリック・アストゥーリアス『エレメンタルズ』


 エレアスの待望の2ndアルバム。ライブバンド、エレアスだからこそのライブでの演奏を通じて完成度を高めてきた曲ばかりなので、リリース時点でライブでおなじみのバンドの代表曲集になっている。2014年は「Cruise to the Edge」で海外の新旧メジャーバンドとの共演を果たし、「日本の現役プログレバンド代表」の枠を大幅に超える活躍を見せた。2015年もアコースティックやマルチのアストゥーリアスと合わせて大山曜のアストゥーリアス・プロジェクトの躍進から目が離せない。

金属惠比須『ハリガネムシ』


 2014年11月リリースながら、ライブ会場などごく一部でしか販売されていなかったこともあり、2014年作として十分な認知を得ることができなかった不利があったが、2015年2月から本格的に全国ディストリビューションが始まり、一気に評価の高まっている重要作。10年以上の活動歴を誇り、メキシコでライブを行うなど海外での評価も高い金属恵比須だが、バンド史上最強のメンバーによる本作でブレイクスルーを果たした。気鋭のシンガーソングライター入江陽がゲストボーカルとして参加している。

ムーンダンサー/タキオン『トリロジー-クロニクル(1977-81 デモ&アンリリースド・ライブ)』


 厚見玲衣の率いるムーンダンサー、タキオンが2013年5月に奇跡の再結成ライブを果たした。そして2014年の夢の続きは、怒涛のリリースラッシュ。オリジナルアルバムの再発、前年ライブの2枚組と来て、3CD+DVD+豪華ブックレットで出た本作は両バンドのすべてを知ることのできるまさに決定版だ。ムーンダンサーの日本語の歌詞に書き換えられる前の洋楽志向の英詞バージョン、スタジオ作を遥かに凌ぐタキオンのライブの丸ごと収録など、当時これらが世に出ていれば、日本のロック史が変わっていたであろうと思わせる、貴重かつ必聴の音源集。

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夏梅実
英伊仏独西、北欧・東欧・南米・日本及びアジア各国のプログレを新旧問わず愛聴するプログレファン。目白新宿の専門店巡り、神保町での音楽古雑誌漁り、ヤフオクでの珍盤探しが日課。マニアというほど究めてません。

20150210

YIM2014著者による年間ベストディスク(小林ヨウ編)

今年1月にBCCKSよりリリースされた『YEAR IN MUSIC 2014』についてはBCCKS人気ランキング1位を達成するなど、多くの方にご覧いただき本当にありがとうございます。
この『YIM2014』に連動したブログ企画として、各著者による年間ベストディスクのショートレビューをお送りします。ぜひそれぞれの著者にも注目し、引き続き『YIM2014』楽しんで頂ければと思います。
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著者:小林ヨウ

掲載原稿

 2012
  • BiS『IDOL IS DEAD』
  • Flying Lotus『Until the Quiet Comes』
  • QN『New Country』
  • きゃりーぱみゅぱみゅ『ぱみゅぱみゅレボリューション』
  • (((さらうんど)))『(((さらうんど)))』
2013
  • Negicco『Melody Palette』
  • OGRE YOU ASSHOLE『confidential』
2014
  • Especia『GUSTO』
  • NOPPAL『SUMMER EP 2015』
  • 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『戦前と戦後』
  • 坂本慎太郎『ナマで踊ろう』

年間ベストディスク2014

クリープハイプ『クリープハイプ名作選』 


 レコード会社移籍にあたって本人たちの意向とは異なる形でリリースされたベスト・アルバム、とのバンドからの声明。その後、ベストと同じ曲順でのライブ配信、と話題に。(曲順にはレコード会社側のバンド愛を感じたのだけど)
 それは置いておいても、2000年代以降の邦楽ロックのいいとこ取りのようなメロディアスな楽曲と、とにかく印象的な尾崎世界観の甲高いヴォーカル。本流でありながら、明確な個性を持つバンドであることを振り返ることのできるアルバム。

Rinbjo『戒厳令』


 OMSBらSIMI LAB.勢にQN(菊地一谷名義)、I.C.Iなど、菊地成孔のラップ関連のメンバーが一挙に登場する菊地凛子のデビュー・アルバム。ボーカルとしての経験が浅い菊地凛子の歌唱に対しては過剰編集/無編集のメリハリをつけ弄ぶ一方で、ラップ/リーディングによる非歌唱的な楽曲では、役者としてだけではなく天真爛漫な本人のポテンシャルを爆発させている。
 収録曲では韓国のラッパーPaloaltoの攻め立てるようなラップをメインとした「反駁」、DJ TECHNORCH(ペン大の受講生だったらしい)のアブストラクトなトラックの上で菊地凛子とオダトモミ(ex.DCPRG)ががなりたてる「空間虐殺」が圧倒的。

OMSB『OMBS』


 ラッパー/トラックメーカーであるOMSB(ex.SIMI LAB.)の2枚目のCDリリース。収録曲中ラップは2曲のみで、インストのビートがメイン。アルバム全体で徹底してクールなトーンは崩さない一方で、音の壁のようなビートのループでごりごりと推進していく「Str8 Killa」が特に印象的。田我流が参加した最後の「Porno Graph」まで完璧な流れでアルバムが進行。

TADZIO『TADZIO II』


 こんなバカみたいで研ぎ澄まされていてかっこいいバンドはそうはいないです。

昆虫キッズ『BLUE GHOST』


 東京インディー・シーンを先取りしたような洗練されたポップ・センスを持ちながら、入力過剰で、音とか感情とかがぐちゃぐちゃのまま押し寄せてきたり、その逆で言い淀むかのように演奏が急に詰まったりする彼らの音楽。本作も1曲目「GOOD LUCK」から感傷が全開。2015年1月に解散。

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小林ヨウ @MM__N__N

20150115

シャムキャッツインタビュー(YEAR IN MUSIC 2014 リリース記念)

 本日2015年1月15日、『asatte増刊 YEAR IN MUSIC 2014』( http://bccks.jp/bcck/130107/info )が電子書籍にてBCCKSから無料でのリリースとなりました!(PCまたはスマートフォンにて閲覧可能です。)

 今回で3回目となる『YEAR IN MUSIC』は、オトトイの学校「岡村詩野音楽ライター講座」において講師と受講生による議論の中でセレクトされた年間ベスト50枚(以上!)のディスク・レビューに、各種特集も交えながら2014年を振り返る書籍となっています。

 今年の第一特集はシャムキャッツへのインタビュー!アルバム『AFTER HOURS』をリリース後、全国ツアーを成功させ、同時に「ROCK IN JAPAN」を含む数多くのフェスへも出演するなど、めまぐるしく活動してきた彼らへの1万字にも及ぶヴォリュームで話を伺ってきました。

 当インタビュについて、BCCKSで無料で閲覧可能ではありますが、本ブログでも以下に一部公開します!電子書籍では、シャムキャッツのインタビュー全文、講座内でセレクトされた2014年のベスト・ディスクのレビュー(+再発盤レビュー)、2014年の音楽書評と、様々なコンテンツを用意しておりますのでぜひそちらもご覧ください。


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シャムキャッツインタビュー


——まずはメンバーの皆さんにお聞きしたいのですが、今年一年で気に入った作品などあったら教えてください。

菅原慎一:同じようなものをずっと聴いてたかな~。

夏目知幸:バンビ(大塚)は新譜を一枚も買ってないですから(笑)。

菅原:ああ、でもディアンジェロの新作!(※インタビューはディアンジェロの新作がiTunesでリリースされた翌日に行われました。)

夏目:前に好きって言ってなかったっけ?

大塚智之:ああ、まあまあ(笑)。

——藤村さんはどうですか?

藤村頼正:いや、特に新しいのは聴かないですね(笑)。でも、レコード・プレイヤーを今年買って、それでちょいちょい聴いてます。

菅原:何を聴いてるの?

藤村:一番最初に買ったのはスティーリー・ダン。昔ハタチくらいの時に、「バンビ・ミックス」みたいな感じでCDにまとめてその辺のミュージシャンを聴かされたんだけど、その時はそんなにハマらなくて。でもあらためてレコード・プレイヤーで聴くと、すげーいいなあって。今の方が(気分的に)そういうのが合ってるからかもしれないけど。ドラムとベースの感じとかちょうどよくて。

——シャムキャッツはその時自分たちが聴いている音楽が作品に反映されるバンドだと思いますか?

夏目:まあするよね、それはね。

大塚:うん。

——どちらかというと古いものを掘り下げていくような聴き方をすることが多いですか?

夏目:俺は新しいもの聴くけど。まあ、みんな掘り下げてるよね。

菅原:僕も音楽すごい好きで、掘り下げて聴くんですけど、自分のプレイにはほとんど反映されてないと思います。

——自分のプレイは自分のプレイとして、何かしら改良していってるという感じですか?

菅原:そうそう。自分の出来ることをしっかりやっていくっていう。機材も限られているから、いきなりギターで最近ハマってるのとか出そうとしても難しいし。

——それはソロ活動の方でも変わらないですか?

菅原:あ、ソロは入れます!(笑)

夏目:(バンドでも)入れてよ、もっと!

菅原:いや、バンドはバンドのことちゃんと考えて、すき間でやってるから。

——じゃあ、バンドのどっしりとした方向性はまた別であると。

菅原:全然別ですね。

夏目:いま聴いてるものに影響されるっていうか、『AFTER HOURS』を作る前まではいつも天然で出してたんですよ。それこそ、聴いてるものと出すものが全く別っていう感じで。聴くほうは趣味で、そっちはそっちで楽しんで、出すほうはもっと自分の生活のこととか考えてて、「音楽」から「音楽」を作るっていうタイプじゃなかったんですけど、『AFTER HOURS』からは、もう完全に好きなアーティスト、好きな曲の構成・コード進行から、どこにどういうオカズがあるからこういうことになるんだっていうところまで、全部データで書き出してから曲を作ってたから。そういう意味では聴いている音楽がそのまま糧になって、最近は自分たちの曲になっている。

——それは意識的に変えたんですか?

夏目:そうですね。これ以上自分の天然に頼っても曲は出来ないかなって思って。俺の才能は出切ったなって。よく考えると、大学で論文書くときとかも、イチから「さあ、この経済はどういうことになっているのか考えてみよう」って、経済のことを頑張って考えて論文書く人はいないじゃないですか。いろいろな文献を漁ってそこから自分なりの答えを出すから、それと同じ作業をやってる感じ。

大塚:わかりやすいね(笑)。

夏目:でしょ、慣れてるでしょう?(笑) 例えば、悲しい曲だったらなんでその曲が悲しいか、イマっぽい曲だったらなんでイマっぽいか、その曲の中に絶対秘密が隠れてるじゃないですか。それがちゃんと自分の中にアーカイブされていれば、「あの悲しい感じがやりたいんだよな。」ってときに参考文献として引っ張ってこれるから。そこから自分たちの色に変えたりも出来る。まあ、便利ですよね。そうすると自然とオマージュ的なものになっていくし、自分たちがちゃんと音楽の歴史の中にいる感じがするから、いまのやり方がいいなと思ってます。

——なるほど。作り方がそういう風に変わると、作曲という行為も自分が表現したいことに対して、アーカイブの中からどう組み立てていくのかという作業になってくると思うのですが、『AFTER HOURS』は当時、どういうものを作りたいと思っていましたか?

夏目:自分から出すっていう作業に疲れたんで、とにかく疲れないことをやりたいと思ってました。それと、それまで天然でやってたから、その時の気持ちとかを歌ってきてたんだけど、もっと「景色」みたいなものを表現したいなっていうのがすごく大きくて。『たからじま』までは、自分が納得いってない社会や人とかのフラストレーションで曲を書いていたところもあったけど、そういうのは一旦全部排除して、自分がいいなと思った景色をバンドで作るって感じになりました。

——そういう脱力感というか、「疲れた」とか「盛り上がりたくない」みたいな感情は時代的なものだと思いますか?それとも個人的なものだと思いますか?

夏目:僕にとっては個人的なものですね。時代的にはそれこそEDMみたいに盛り上がってるじゃないですか。でも、きっと僕みたいに思っている人もいるんじゃないかなとは思っています。それこそ、博多華丸・大吉がこのあいだ「THE MANZAI」で優勝したじゃないですか。あれはちょっと僕らには希望だなって。そういう価値観でも優勝できるっていうのはいいなあと。だから「ROCK IN JAPAN」とかは華丸・大吉的な感覚で出ました。みんなはしゃべくり漫才で何分間のうちにいくつ笑いを入れられるかってところで勝負してるけど、こっちはすごい柔軟な芸で、ゆったりやって笑わせられればいいなっていう。

——それは何らかのカウンター的なイメージもあるんですか?

夏目:いや、全然ないです。作りたいものがたまたま主流じゃないってだけで、別に主流じゃないものを作りたいわけではない。

——「盛り上がりたくない」みたいな気持ちは他のメンバーの方も共感していますか?

藤村:いや、共感してないですね。たぶん全員が同じことを思ってたらシャムキャッツみたいなバンドにはならないと思う。

大塚:でも、共感はしてないけど、(夏目が)こういうことを考えてるんだろうなとは思うよね。

夏目:俺は俺で他のメンバーはこう思ってるんだろうな、っていうとこを思って作ってるところはあるけど。

菅原:だから共有はしてないけど、お互いに想像して気を遣い合ってるっていう感じですね。

夏目:でも、『AFTER HOURS』を作る時に常々言ってたのは、わざとらしい展開とか「はい、盛り上がりそうだね」っていうスイッチを押したくないっていうことで。そこは共有していたと思います。

——とはいえ、シャムキャッツの音楽って、ポップに作られてるじゃないですか?

夏目:うん、そうですね。

——例えば、「MODELS」のサビの前のSE的なギターの使い方とか、すごくポップス的な作り方をしていると思うんです。となると、スイッチを押さないっていうのがどういうニュアンスなのかなと。

菅原::自分たちの感覚の中でってことだよね。

夏目:たぶんね。

——自分たち的にナシなことはやらないっていう感じですか?

大塚:でも、あまりにもやらな過ぎるのも…。

夏目:そうそう。やらな過ぎるのも自分たちにとっては違うってなるんですよ。だからちょうど良いところを見つけてるって感じなんですけどね。いつも。

藤村:いい塩梅のスイッチを探して押すというか。

大塚:押すっちゃ押す。

夏目:でも、これは僕のクセなんですけど「これベタじゃない?」っていうのを練習中とかもよく言うんですよ。でも、音楽って基本的にベタなものだからね。

——みんなでクチを出して軌道修正して、ぎりぎりベタじゃないものにしていくみたいな。

夏目:そうですね。あとは思いっきりベタなものをベタじゃなく聴かせるとか。

菅原:「SUNDAY」って曲とかは結構最後まで葛藤があって。で、形になってからも結局どうなんだろうねって言ってます。

夏目:なんて言うか、『AFTER HOURS』に限って言えば、「コンクリートに捧げるバンド音楽をやる」っていうのがテーマとしてあって。人とかじゃなくて、自分たちが生まれた埋め立て地の地面とか橋とかに捧げる曲っていうのがテーマだったから。豊かな感じ、森とか海とか、人々の会話とか愛情とかそういうのだと豊かさが出てくるじゃないですか。芳醇な感じが。そういうのはなるべく排除したかったんですよ。そういう自分たちが思ってるヒューマンな感じっていうのを出さずに、でも、どうやって豊かな音楽にするかっていうのがテーマだったんです。そういう部分でちょうどいいスイッチを探していたっていう感じ。だから少しのっぺりしてたりとか、少し無機質っていうか、少し無表情っていうか、そういう展開とか盛り上がりじゃないと、テーマとして成立してないわけですよ。だからそういうのを探してたって感じです、『AFTER HOURS』は。やっと分かった、自分でも。

20141008

asatte Vol.11「イケてるロックT」特集号設置店舗


渋谷・恵比寿


 HMV record shop 渋谷
 恵比寿 リキッドルーム
 渋谷 WWW
 TSUTAYA O-nest SHIBUYA
 ヴィレッジヴァンガード 渋谷宇田川
 ユーロスペース

池袋


 池袋 LiveGarage ADM

御茶ノ水


 ジャニス本店
 ジャニス2号店
 ディスクユニオン お茶の水駅前店
 ヴィレッジヴァンガード お茶の水

国分寺・立川


 ディスクユニオン 立川店
 珍屋立川一号店
 珍屋立川二号店
 珍屋国分寺北口店
 珍屋国分寺南口店

吉祥寺・西荻


 ココナッツディスク吉祥寺店

その他


 大宮 more records
 ヴィレッジヴァンガード 三軒茶屋店
 三軒茶屋 HEAVEN'S DOOR


※2014年10月7日現在での設置店舗になります。
※10部~設置させていただいているため、配布終了している可能性もあります。

asatte Vol.11「イケてるロックT」特集号が完成しました

asatte Vol.11「イケてるロックT」 特集号が完成しました!

テーマはずばり、ロックTシャツです。 



特集1 この夏のおさらい“イケてるロックT”~イケてる?ダサい?絶妙な愛すべきTシャツたち


いまや音楽ファンの定番アイテムという枠を超えて、幅ひろく愛されているロックTシャツ。
今回はその中でも、特にこれは「イケてる」と感じられるようなTシャツたちを顔役に特集を組みました。
ロックTシャツ、とひと口に言っても、そこに込められた思いはまさに十人十色。執筆者それぞれの切り口から書かれた論考、もとい愛すべきTシャツたちとの悲喜こもごもを、是非ご一読下さい!


特集2 新連載 『東京の穴』 ~永福町 『鶴吉』~


さらに、今号からは新しいシリーズ企画が始まりました!
その名も、『東京の穴』。
我がasatte編集部員たちにとっても愛すべき遊び場である街、東京。その中でも、普段なかなかメディアに登場する機会のない街や地域、そこに根付いたお店等にフォーカスを当てて、紹介してみよう、という趣旨の企画です。
音楽ファンの方でも、渋谷や下北沢、新宿のような地域のライブハウスやレコ屋にはよく行くけど、それ以外の街となるとなかなか知るキッカケが無い、という方は案外多いのではないでしょうか?そんな方々にとっての良き手引き、というと僭越が過ぎますが、読者にとっても取材対象の方々にとっても刺激となる機会を提供して行ければ、という思いを込めて取材を重ねて参ります。

その記念すべき第一回として、今回は、京王電鉄井の頭線・永福町のお店『鶴吉』に取材をさせて頂きました。地元民にも愛される居酒屋に流れる音楽愛、是非ご一読下さい!

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フリーペーパー『asatte Vol.11』は現在、各地のレコード・ショップ、ライブハウス、カフェ、その他ショップなどで順次配布中です。設置店舗の情報は当サイトに別エントリーも御座いますので、そちらもご参照いただけますと幸いです。

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執筆陣


岡村詩野
佐藤優太
北原‘きっちぃ’裕一郎
小泉創哉
佐久間義貴
板垣有
鈴木孝明(『東京の穴』 取材・文)
梶原綾乃(編集長)